先日、ゲストハウスの常連の林さんが「3年間、ここでコーヒーを飲んでオーナーさんと喋る時間に救われましたよ。もっと自信を持っていてください」と話してくれて、涙を堪えるのに必死でした。笑
長く暮らしてきた土地を離れ、始めての場所で生活するというのは想像以上に不安です。離れるとなった途端に当たり前だった日常が急に愛おしく見えてきたり,自分の拠り所になっていた人や場所の暖かさに気づくきっかけになったりします。
私が初めて関西に来たときも林さんと同じように、自分が自分らしく入れる場所を探したものです。家や会社とも違う空間で少し雑談をすると気持ちが軽くなるのが不思議ですね。
それはきっと一時の旅にも言えることだと思います。
初めての土地で居心地のいい場所を見つけると、その後の旅がうまくいきそうな気がしますよね。今日紹介するのは田舎のおばあちゃんの家のように落ち着く喫茶店『鹿鳴館(ろくめいかん)』です。

大阪心斎橋筋にある大きなアーケードを一本右にそれて、細い路地を進むと、レンガ作りの小さな喫茶店があります。それが『鹿鳴館』です。グーグルマップには12時オープンと表示されますが、14時にオープンなので気をつけてください。店主は御年75歳のシゲ子さん、今も元気に喫茶店の店主として働いています。

『鹿鳴館』を楽しむならカウンター。1人でも2人でもシゲ子さんと対話を楽しんでもらいたい。会話が苦手な人でも大丈夫。正直、私も接客や会話が得意ではありませんが。8割くらいはシゲ子さんが話してくれるから。田舎のおばあちゃんとの会話を思い出すくらい心地いい……。

私が『鹿鳴館』を訪れたのは3回目です。1度目はひとりで、2度目はコーヒーが好きな大学生の堀内くんと。堀内くんと訪れた時にはカレーと珈琲をいただました

カレーは欧風カレーです。一緒に季節の野菜を使ったピクルスが出てきます。
ウインナー、卵、ニンジン、ジャガイモ。特にジャガイモが美味い。ジャガイモは一緒に炒めて煮込むと溶けてしまうので、きっと別々に茹でているのだろうと思います。また、食べた時に感じる柑橘系の酸味と甘味が爽やかで良い。今流行っているスパイスカレーとは少し違う喫茶店のカレーです。心が少し元気になります。

珈琲は一杯ずつ丁寧にドリップして淹れてくれます。今回はブレンドをいただきました。酸味とコクのバランスがよくてすっきりした味です。お供は沖縄の黒砂糖。これがまた美味しい。堀内くんは自分で豆を焙煎するくらい珈琲が好きなのですが「今まで飲んだことがない味ですね。」と話していました。

3度目の今回は何を頼もうかと迷っていたら、「ティーソーダはどう?8月になって急に暑くなって来たから、こんな日にぴったりよ。」と勧めていただいたので注文しました。

「ティーソーダ」はカルディーで出ている濃縮紅茶の元をソーダで割ったもの。コクのあるさっぱりしたコーラのような印象です。シゲ子さんが「甘いからしっかり混ぜてね」と声をかけてくれます。甘さはポカリのような自然な甘さ、体に染みわたります。

今回は開店直後で「少し待ってね、準備をするから。今日はスイカを買ってきたの。あなたラッキーね。後で食べましょう」なんて会話が始まってスイカをいただきました。今年の初スイカでした!笑
カウンターがあると、ひとりで訪れても居場所がある気がして居心地がいい。
初めての土地、初めての旅、たくさんの人。モノとヒトに囲まれる都市での暮らしは一見、満たされているように見えます。けれど、気付いたら会社と家の往復で、明日からの仕事がまたゆううつ。。
どこかに息抜きできる場所がないかなと探す人に一度訪れてもらいたい喫茶店です。
執筆 ヤマシタ(Twitter:yamashita1986)
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名前 | 鹿鳴館(ろくめいかん) |
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住所 | 〒542-0085 大阪府大阪市中央区心斎橋筋1丁目3−12 |
営業時間 | 14:00〜21:00(不定休) |