NEO OSAKA

クリエイティブな大阪の旅を作るメディア
NEO OSAKA-ネオ大阪
クリエイティブな
大阪の旅を作るメディア

100年続く喫茶店でコーヒーとドーナツを味わう、
大阪本町『平岡珈琲店』

『平岡珈琲店』は大正時代から営業している、関西でも最も古い喫茶店と言われています。創業から100年たった今でも、出勤前のサラリーマンから近所のおじいさんまで、地域に住む老若男女の憩いの場となっています。

 

店の看板メニューは、ボイリング法と呼ばれる独特な抽出方法で淹れられるこだわりの珈琲。今回は3代目店主の小川さんに珈琲に対するこだわりと100年愛され続けてきた『平岡珈琲店』の歴史を伺ってきました。

 

大正時代からの歴史を紡ぐ名喫茶が生まれるまで

御堂筋線の本町駅2番出口から徒歩5分の場所に『平岡珈琲店』はあります。

 

お店の歴史は古く、創業は大正10年まで遡ります。創業者の小川忠次郎さんは千葉県木更津の出身で、醤油醸造所を営む家庭の6人兄弟の次男として生まれました。喫茶店を始めるまでは、実家の醤油醸造所で働き、関西には縁もゆかりもありませんでした。

そんな忠次郎さんの人生の転機になったのが、東京での仕事の合間に訪れた喫茶店カフェパウリスタ。そこで食べたドーナツと珈琲の味に心を打たれ、ついにはレシピを教わりに通うまでになったそう。

 

一方、実家の醤油醸造所は製造が追いつかなくなるくらい、繁盛していました。忠次郎さんは醤油を増産するための醸造所を探して、兵庫県尼崎市へ出張し、そこで出会った料理旅館「平岡」の娘と恋に落ち結婚しました。

 

その際、家業の醤油醸造所の仕事を捨て、関西に移り住み、輸入食品の販売店を始めました。この販売店の事業が軌道に乗ったところで、忠次郎さんは大好きな珈琲1本に絞ることに。こうして大正10年『平岡珈琲店』が開業したのです。

 

毎日楽しめる味を。自家焙煎豆のコーヒーとドーナツ

100年珈琲とドーナツのセット(680円)
ミックスジュースや紅茶もあるので珈琲が苦手な方も楽しんでいただけます

平岡珈琲店』では「100年珈琲、香りブレンド、苦味ブレンド」の3種類の珈琲が楽しめます。それぞれのブレンドにはガテマラ、キリマンジャロ、コロンビアといった南米産の豆をメインに、インドネシア産の豆をブレンドして使用しています。焙煎は深煎を基本に、温度や湿度をみて毎日調整しているそう。





現店主の小川清さんは、注文が入るたび、お湯を沸かしボイリング法で丁寧に珈琲を淹れます。このボイリング法で淹れたコーヒーを味わうために、わざわざ来店する人も多いそう。

この日私が注文したのは「100年珈琲」とドーナツのセット(680円)。飲んだ瞬間は珈琲の苦味がガツンとくるのに、雑味がなくとても飲みやすかったです。

 

『平岡珈琲店』では、コーヒーだけではなく、1日50個限定でドーナツも販売しています。毎朝、開店前の6時からひとつずつ揚げられているそう。ドーナツは卵、砂糖、小麦粉とシンプルな材料から作られています。これを目当てに来店する人も多いのだとか。

 

口当たりの良いカップで上質な珈琲を

棚に綺麗に並ぶのはNikkoの珈琲カップ

店主の小川さんはカップにもこだわりを持っています。『平岡珈琲店』の棚には、シックな珈琲カップが並んでいます。

 

小川:
これまでたくさんの種類のカップを試し辿り着いたのが、Nikkoの硬質陶器でした。硬質陶器の特徴は、一般的な陶器よりも硬く磁器よりも軟らかいことです。実際に使ってみると、しっかりした厚みと、柔らかい口あたりが絶妙で。それに加えてクラシックな絵柄が好きなんですね。このカップでコーヒーを飲めば、ゆっくりとしたひとときを過ごせる気がして。

 

100年続いた平岡珈琲店がこれから目指すもの

最後にこれから平岡珈琲店が目指す姿を伺ってみました。

小川:

私たちは伝統の味と品質は守りながらも、お店は常に変化しないと残っていけないと考えています。

 

変わらないことがいいと言う人もいます。でも人々の生活スタイルは日々変化しています。インターネットが発展して、スマートフォンが普及し、今はどこでも仕事ができる世の中です。私たち喫茶店も時代と共に、変わっていかないとならないと思っています。

 

忙しい人が気軽に珈琲を楽しんでもらうため、数年前からテイクアウトを始めました。また、ホームページやSNSを使って喫茶店の歴史や珈琲へのこだわりを発信しています。加えて若い人たちに来てもらいたいと、禁煙にしました。

 

喫茶店は手段であり、目的ではありません。私たちは珈琲という文化を作っていくことが目的です。

毎日の情報が更新されている『平岡珈琲店』のFacebookページ。
Facebook

今回の小川さんの話を聞いて感じたのは、珈琲文化を守ることを軸に、時代の変化と共に変わり続けることが大切。それが新たなお客さんを呼び、地域の方からも愛されることに繋がるということでした。

 

深煎り珈琲とドーナツは絶品でした。暖色系の照明に、年季の入った一枚板のカウンター、暖かみのある懐かしい昭和の空間が広がります。

 

本を読む人、日常会話を楽しむ老人、朝早くから新聞を読むビジネスマン、この場所にいるだけで大阪の日常を感じることができます。大阪を訪れた時にはわざわざ訪れる価値のある場所です。

執筆・撮影 ヤマシタ(Twitter:yamashita1986

店名

平岡珈琲店

住所

〒541-0048 大阪府大阪市中央区瓦町3丁目6-11
Google Mapで開く

電話番号

06-6231-6020

営業時間

9:00~18:00(火曜・水曜は定休日)

HP

https://www.cafe-hiraoka.jp/

Facebook

https://www.facebook.com/hiraokacoffee/

NEAR HERE

NEW POST